2012/01/06

新年への課題(2)

「クリスマス茶会」が行われた戸倉地区の波伝谷仮設を中心に戸倉地区の支援について、またこれからのプロジェクトについて記しておきたいと思います。私たちの戸倉地区支援は、他の支援グループからは大分遅れて始まりました。三陸道「桃生津山」を降りて45号線から何度も南三陸町に入っていますが、その最初に通過する地区が戸倉地区です。いつもどのような状態になっているのか、気になりながら走っていました。夏も過ぎてから、支援で出会った方を介して、あまり支援の届かない場所があるので一度、訪ねて欲しいとの依頼がありました。その一つが波伝谷であったのです。

幸い、この地区の自治会長さんは誠実な方で喜んで向け入れていただき、皆さんとの交流が始まりました。すでに先の報告でも記しましたように、間もなく、今、最も必要としているものとして「乾燥機」の話しがありました。「乾燥機」については戸倉地区自治会長さんたちの集まりの中で話題になったと聞きました。話しを聞き、この戸倉地区全体を考えながら取り組むべきと考え、実際に必要としているところについて確認していただきました。結果的に切曽木、神割崎、津宮、そしてこの波伝谷の四箇所に提供することになりました。その後、冬物衣料品とかホットキーパーシート、「餅つき器」(共同使用)など、地区全体で情報を共有していただきながら、かつ必要に応える形で支援に取り組んできました。なお、乾燥機やホットキーパーシート等の購入資金の一部、また冬物衣料などの支援では「イザヤ58ネット」の皆さんからの協力をいただきました。

そして、12月「クリスマス茶会」、今回は日時の関係で戸倉地区は波伝谷だけになりました。「八木山聖書バプテスト教会」の協力を得て、会員の大宮香織さんに賛美奉仕をしていただきました。彼女の歌声は大海原と青空の空間を飛び交う小鳥のように被災者の心に響き渡る、感動そのものでした。クリスマスを表現した和菓子と珈琲、組み合わせは微妙でしたが、とても和やかな集まりとなりました。ここには子供たちも何人かいるのですが、今回はほとんど年配者たちの参加となりました。どの地区も被災地での高齢者への支援は心に留めたい一つの大切な課題です。なお、この地区にも「西堀キリスト福音教会」有志の皆さんたちから「電子レンジ対応のゆたんぽ」のプレゼントが、特に年配者の方々に贈られました。

新しい年を迎えて、子供たちを意識し、絵本や書物を届けたいと願っています。全国から送られたもので内容は申し分ないが、若干古いとか、いくつかの理由で図書館に収まりきれなかったものです。図書整理のボランティア活動の中で、やむなく処分される本に気づき、譲り受けることにした貴重な書物です。これまでは、他の支援物資のこともあり、取り組めずにいたプロジェクトでもあります。

今週から、手始めに戸倉地区、岩沢の仮設の子供たちために本を運びます。子供たちやその親御さんたちとの出会いを楽しみにしています。この「本を読んで考えよう」プロジェクトの取り組みの中で、次につながる支援の可能性を見つけ出していければと願っています。

2012/01/01

新年への課題

2011年、文字通り最後の日となりました。3.11大震災以来、多くの方々に祈り支えていただきました。また具体的な支援において協力いただき、心から感謝を申し上げます。同時に被災地においては、見ず知らずの私たちを信頼し、受け入れてくださり、さらに支援を必要としている方々を紹介していただき、関係が広まっていることに感謝したいと思います。そして何よりも支援する側、受ける側といった関係ではない、互いに支え合う隣人としての信頼関係が築かれつつあることに感謝したいと思います。

先週20日(火)大森地区、21日(水)戸倉地区の波伝谷仮設での「クリスマス茶会」を行いました。24日(土)には升沢、米広、大森、中瀬、岩沢等を訪問しました。「クリスマス茶会」としては、今回は二箇所だけになりましたが、次につながる機会になったと思います。

大森地区は直接の津波被害を免れた在宅の方々で、どちらかと言えば支援に回った方々です。しかし、身内や親戚の中に津波被害を受けた方々がおります。優先順位があるものの支援を必要とした方々でもあります。ただ、完全に流された方々と比べれば回復は早いように思います。私たちの願いはこの地元の方々を通して、彼らの関係者で支援を必要としている方々への支援が展開できるようになればと願っています。今回の「クリスマス茶会」は単にお楽しみ会だけではなく、共に「支援の在り方について」意見交換をすることを目的としました。この大森地区でまとめ役を引き受けてくださった佐藤源六さんご夫妻の声がけで、班ごとに奉仕してくださった方々に、自由に集まっていただきました。

この地区に対する支援が皆無ではありません。問題は届く支援が地域の皆さんに、誰もが納得できるような仕方で届いているかどうかです。具体的な状況は分かりませんが、一部の方に片寄ったり、必要としている方に届かなかったり、支援をする、しないの原則が明確でなかったりと、むしろその支援のゆえに住民間の信頼関係が崩れてしまうという、とても残念な結果が生じていることです。いわゆる人道支援の限界であろうと思います。支援は単に物の提供に留まらず、心の問題も並行して行われなければと思います。

ますます疑心暗鬼に陥らないためにも、共に集まり、みんなが率直に意見交換ができる環境が必要です。この大森地区はおよそ半分は津波に流されました。そしてコミュニティーセンターも流されました。地区住民が共に集まる場所がありません。そのために互いに意見を交換したり、意見を聞き合ったりすることができず、結果として共に再建していこうという機会を逸しているのです。この状況を何とか克服する術はないかと、問われました。これは一つの支援グループではなく、行政の責任領域かもしれません。要望を含め、仮設の建物でも、共に集まる場所の実現のために知恵を尽くしたいものです。

同じ地域住民が揃って居住している仮設住宅は、そう多くありません。そうした状況で、一つの地区共同を築いていくことは容易でありません。それだけに大森地区のようにもともとあった地域共同体が、逆に支援のゆえに崩れるとしたら非常に残念なことです。新しい年、知恵を尽くさなければならない支援の一つです。(続く)