2011/06/14

復興に至る支援

南三陸町における今後の支援の在り方を探り、情報を得るためにボランティアチームと活動をしていたときに、そこで出会った一人の男性との話しに心が動きました。支援はありがたいが、しかし、自分たちもできることを取り組まなければならない、いつまでも支援に頼っているようではだめだと思っている、ということでした。ただで受けられるものはとにかく貰っておこうという者もいて自宅に支援物資を山のように集めている、善意の支援が人間をだめにしているというのです。

地域の責任者の言葉を借りれば中には「欲得」で支援物資に集まる者もいるということです。こうした話しは南三陸町に限りません。被災の程度によるのかもしれませんが、支援する側もただ物を提供するという手法が逆効果、人間性をいっそうゆがめてしまい、地域の人間関係まで壊れるようなこともあるという現実を見せられた思いです。

そうした話題の中で、その男性が世話になっている地域のことを話されました。南三陸町の浜地区から内陸に位置する入谷地区です。この地区の人たちは3.11後、自分たちが持っている米を拠出し合って、避難された方々にいち早くおにぎりを提供されました。互いに助け合う素晴らしい取り組みであったというのです。

私たちも単に物を運ぶ救援ではなく、本当に必要としている方々に必要なものを手渡せたることを願って取り組んでいます。このような取り組みを見て、そうであれば是非、入谷地区にも行って見て欲しい、公民館館長を紹介するので一度、訪ねてみて欲しいと言われました。入谷地区はいつも通りすがりで、一見、平穏そのものです。この地区にある小学校に避難されている方々のために炊き出しがなされていることは聞いておりました。

早速、13日(月)に公民館を訪問し、館長さんに面会することができました。ここは浜地区からはだいぶ離れているので、ここに避難されている方々は車で避難できた人たちで、そのまま避難所(小学校)に留まっているとのことです。確かにこの地区は、3.11当日、歩いて避難できる場所ではないようです。高台にある小学校が避難所になっています。ここには現在でも子供8名を含む約80名ほどの方々が避難生活をしています。その校庭には仮設住宅が建てられていました。そしてこの入谷地区には292人の方々がこの地区の住民、身内などに避難されているとのことです。

基本的には自立の方向にしっかりと動き出していることが見て取れました。「グリーンウェーブ入谷構想促進委員会」が建て上げられ、「事業開発部」を設け、1,「被災者ふれあい農園及び農産加工事業」2,「避難所内職センター推進事業」3,「被災地便利屋さん推進事業」を展開しようとしていることの説明を受けました。つまり、受ける支援から自立へ、被災し職を失った人たちのために雇用を生み出し、人の人たる本質的なもの、労働することを実現しようという取り組みです。

館長さんの言葉が重く響きました。大震災のあった一ヶ月くらいは本当に助け合う人間の素晴らしさ、その美しさを見ました。しかし、その後、多くの支援、様々な支援がなされるようになって、むしろ人間関係に齟齬が生じてしまった。また、地域共同体のエゴ、地域根性の出て、南三陸町という一体感を崩すようなことが起こっているというのです。

私たちもこの入谷地区のような確かな災害復興の主体的な取り組みにつながる支援でなければならないと思います。聖書の規範でもある額に汗して働くことの大切さ、家族の建て上げや支援、そしてその地域の繁栄に貢献できることです。まさに福音をしっかり受けとめた教会の本来の在り方であったと思います。

一面的なことで軽々に判断することを注意しなければなりませんが、物を運ぶ、提供するだけ、一時の必要のために「炊き出し」をするだけのことであったり、またいわゆる「宗教的」な集まりをする、集まっていることだけしか支援のゴールが見えないとしたら、いずれまた限界に突き当たってしまうだろうと思います。

それだけに、支援をどう展開し、継続していけるのか知恵が求められます。また、私たちの限界も自覚しています。それだけに本当に理念を共有できる方々と共に連携し合いながら取り組まなければならないだろうと思います。

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